民間企業

人間の行動すべてが研究対象となる。
経済学の奥深さや理論追究に没頭した大学生活。

株式会社南都銀行 内定S.N さん 経済学部 / 奈良県立桜井高校

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大学生活で特に印象深い経験は何でしたか?

2年生の1年間、経済学部のメンターを務めたことです。先生のサポート役として1年生のクラスを担当し、大学での学修方法や、大学生活についてアドバイスすることが主な役割です。誰かに教えることは苦手だと思い込んでいましたが、いざメンターを経験してみると意外に緊張もなく、スムーズに教えることができました。レポートの書き方やプレゼンのポイントなどを後輩にアドバイスすることは、自分にとっても復習や知識の定着につながりました。やりがいを感じながら楽しくサポートすることができたため、3年生でも1年間、継続してメンターを担当しました。
グループごとにテーマを設定し、これまで学んできた経済学の理論を用いて研究し、成果を発表する「学生研究発表大会」に参加したことも印象深いです。私たちは「ふるさと納税の返礼品」を取り上げました。この研究には、人間は選択肢が多すぎると選ぶことに疲れてしまい、結果的に全体の利益が下がるという行動経済学の理論「選択のパラドックス」を用いています。ふるさと納税の返礼品の種類をどれぐらいまで減らせば利益が増大するかを考えました。グループのまとめ役を任され、率先して意見や方向性を示し、お互いがサポートし合える環境づくりを心掛けていました。学生研究発表大会で必ず受賞することを目標に掲げていたため、金賞に選ばれた時は仲間と喜び合いました。

「経済学」に興味を持ったきっかけは何ですか?

高校時代は社会や公民が好きでした。経済学はそれを活かせると聞いたことが、興味を持ったきっかけです。社会に出てからでは本格的に学ぶことは難しいと考えていたため、4年間で経済学をしっかり学ぶ意気込みで入学しました。ただ学ぶだけでなく成績も重視し、特に1・2年生の時は予習・復習を欠かしませんでした。わからないところは先生に質問しながら、一つずつ解決するなど「クラスメイトには負けない」という思いで取り組んでいました。
経済学には多彩な分野があり、年次が進むにつれて授業内容も徐々に専門的になっていきます。ミクロ経済学の授業でさまざまな数式や理論を用いる段階になると「いよいよ経済学らしくなってきた」とうれしくなったことを覚えています。

経済学の中でも特に好きな科目や授業は何ですか?

1年生の頃から慕っていた先生の影響で、「ゲーム理論」や「行動経済学」へ関心が高まりました。例えば、人間は「1年後に1万1千円をもらう」よりも「今すぐに1万円をもらう」ことを選択します。「人間の行動が研究対象となる」。そこがこの学問の面白いところです。また「地域金融論」「金融論」といった科目は、銀行員にとって必須の資格である「証券外務員資格」の試験にも役立つと感じています。
現在は卒業論文を執筆中です。テーマは「投資信託」。学生研究発表大会で取り上げたふるさと納税の返礼品と同じく、投資信託においても投資の対象となるファンド(投資家から集めた資金を専門家がまとめて運用する金融商品)の数が多すぎるという指摘があります。投資家にとってデメリットになり得るこの問題を、「過剰参入定理※」という産業組織論の理論を用いながら考え、具体的な政策提言に落とし込みたいと思っています。
※企業の自由な参入が市場に認められると、過剰な数の企業が参入し、社会全体の経済的な幸福度が低下する可能性がある、という経済学上の考え方

内定先についてお聞かせください。

南都銀行から内定をいただきました。地元の奈良県では唯一の地方銀行であり、地元に根付いており、大学生からの人気もある銀行です。銀行と言えば「硬い」イメージがありますが、インターンシップに参加したところ、服装はビジネスカジュアルが認められており、職場の雰囲気も柔らかい印象を受けました。またフレックス勤務制度の導入や、男性社員の育児休暇取得率を向上させるなど、職場環境としても先進的な一面があります。近年では奈良の名産品を販売するオンラインショップに携わるなど、銀行として幅広く金融サービスを提供しながらも、地域に密着し、地域経済を支える役割も担っています。

南都銀行に興味を持ったきっかけは何ですか?

当初は公務員を志望していました。経法大に入学した理由も「Sコース」をはじめとする公務員試験の対策が充実していたからです。実際に1・2年生の時はSコースを受講していました。3年生になり、「地元に貢献する」「地域の人の役に立つ」という点で、地方銀行も自治体と同じような役割を果たしていることを知りました。例えば南都銀行では、奈良県で深刻化している空き家問題に対して投資をし、古民家カフェや民泊施設に改装するといった取り組みが行われています。その目的は、奈良県を訪れる観光客を、日帰り型から宿泊型へとシフトしたいという地域のニーズに応えるためです。融資や各種金融サービスという専門性と、公共性の高い事業内容に魅力を感じ、南都銀行を第一志望としてめざすようになりましたね。

内定獲得に向けて、どのような対策をしましたか?

「キャリア開発」「キャリア演習」など、キャリア関連科目を担当する先生がとても熱心な方でした。授業中はもちろん、休み時間も採用試験のアドバイスをいただきました。特にエントリーシートや志望理由書については、「このように書いた方が伝わる」「この一文は不要」など、具体的に助言いただいた内容を最大限に活用しました。先生の存在がなければ、内定は叶わなかったかもしれません。
面接も、授業中に何度も指導していただきました。言葉遣いや表情のポイント、緊張すると無意識のうちに手を握ったり開いたりする癖も指摘してくださいました。度重なる対策のおかげで落ち着いて本番に臨むことができました。南都銀行の面接でも、学生研究発表大会の経験についてしっかりと掘り下げていただけ、学んだ経済学の知識や理論を駆使して発表に臨んだことなどをアピールできました。南都銀行以外にも、業種・業態を絞らずエントリーし、複数内定を獲得できました。面接の質問内容も多岐にわたりましたが、おかげで臨機応変に対応できる力が伸びたと感じています。

今後の抱負を教えてください。

銀行で働く上では「証券外務員資格」が必要になることから、試験合格に向けて勉強を始めています。ほかにもファイナンシャルプランナーや簿記関連をはじめ、銀行の業務に携わるためには多くの資格が必要になります。そのために、社会人になっても勉強を続け、自分を高めたいです。在学中にメンターとして後輩を助けるやりがいを感じました。このことから将来的には人事部門で、人生の岐路に立つ就活生をサポートしたいと考えています。同時に、残りの学生生活を思い切り楽しみたいという思いもあります。なるべく多くの時間を友人と過ごし、旅行にもたくさん行きたいですね。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学に入ると、友人関係や生活環境が大きく変わります。不安に思うかもしれませんが、その気持ちはみんな同じです。私も入学当初はずいぶん緊張しましたが、すぐに友人ができました。人と出会うチャンスはたくさんあるので、皆さんにも安心してほしいです。大学の授業の内容や学修の方法も高校時代とは変わりますが、そこは先生方がしっかりフォローしてくださいます。ぜひ安心して入学し、充実した4年間を過ごしてください。

※掲載内容は取材当時のものです。

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