公務員・教員

ゼミ活動で芽生えた農業への思い。
食の未来を見つめ、さらに見識を深めていきたい。

農林水産省(関東農政局)職員 合格玉置 和弥 さんKazuya Tamaki経済学部経済学科卒(2021年3月) / 奈良県 奈良育英高校 出身

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農林水産省職員採用試験合格、おめでとうございます。
公務員を志すようになったのは、いつ頃からですか?

公務員に興味を持ったのは、高校生の時に親戚の伯父から勧められたのがきっかけです。当時はまだ、将来について具体的には考えていなかったのですが、公務員の仕事について調べてみると、安定した職業であることはもちろん、働くことが自分だけではなく社会や地域の人々の幸せにつながる仕事だと知りました。漠然とですが公務員になれたらいいなと思うようになりました。
今振り返ってみると、漠然とした思いが関東農政局という具体的な目標へとつながった最大の要因は、大学3年生の時に経験したゼミ活動でした。ゼミでは八尾市の中小企業家同友会の方々と一緒に、八尾の街を活性化させる「やお未来創造委員会」という活動に参加しました。その活動の一環で、地域の特産品である「八尾えだまめ」を使った商品の企画・販売を手掛けました。「この特産品をさらに価値ある商品にするにはどうすれば良いのだろう」と頭を悩ませながら、商品の売り出し方を模索する作業はとても刺激的で、次第に農業自体の奥深さにも強く惹かれるようになりました。この経験がきっかけで、関東農政局のWEB説明会に参加を決めました。説明を聞くうちに、農業や食を通して社会や人のために役立つ仕事ができる、そう感じて、関東農政局を目標に定めました。

労働基準監督官や埼玉県庁にも合格されたそうですね。

はい。実は、関東農政局に出会うまでは労働基準監督官が第一志望だったんです。経法大と中小企業家同友会が共同開催している「八尾シンポジウム」で大阪労働局の方とお話する機会に恵まれ、労働基準監督官という職業を知りました。企業の労働環境を良くしていくために日々奮闘し、時には立ち入り検査や監督・指導にあたることで、悪質な隠蔽や不正に毅然と立ち向かい、社会全体を良くしていく。そんな職務内容に強く惹かれ、労働基準監督官を目指すようになりました。
また、埼玉県庁については、施策のユニークさに魅力を感じたのが何よりの志望理由です。外国人観光客の誘致や観光基盤の整備、県産物のブランドプロモーションといった堅実な施策だけではなく、人気アニメで舞台となった場所を聖地化する取り組みにも力を注いでいる点に、とても面白みを感じました。私自身もアニメファンなので、こうした独自の取り組みに強く惹かれました。
正直なところ、いくつもの進路に合わせて勉強するのはとても大変でしたが、どの仕事も私にとって魅力的だったので、「いずれかの仕事に就けば、やり甲斐を感じながら思いきり頑張れるはず!」と自分を鼓舞しながら、なんとか最後までやり切ることができました。

これほど合格・内定を実現できた理由はなんだと思いますか?

努力を継続したことはもちろんですが、大学で取り組んだ多くの学修が公務員試験に直結していたのが大きいと思います。
例えば、経済学。1年生から2年生にかけて受けた「ミクロ経済学」と「ミクロ経済学演習」の授業は、難解な経済学の基礎を理解するのに大いに役立ちました。早い時期にしっかりと経済学を学ぶことができたので、試験勉強の追い込み期間に政治学・社会学・労働法・刑法など、他の学修にたっぷりと時間を割くことができました。「行政学」の授業も試験に直結していました。行政学は公務員試験においても重要な科目です。他の科目が難しかった場合の補助的な役割も担っているので、この授業で基礎を固められたのは大きかったです。
また、苦手意識を持っていた論文については、「公務員特別演習」で鍛えることができました。毎週、論理性とスピード感を意識しながらコンスタントに論文を書くことで、自分の考えを文章化するスキルを伸ばし、最終的には自分でも納得できるレベルの文章力が身についたと感じています。論文には時事や地域の施策に関する知識も必須なので、「地域デザイン論」や「地域生活と経済」の授業で、知識量を蓄積していきました。その甲斐あって、本番の試験でも焦らず丁寧に論文を書き上げることができました。
「Sコース(特修講座)」では、教養試験への下地をつくることができたと思います。さらに専門性を追求していくため、途中から専門学校に切り替えましたが、正課授業とSコースの相乗効果はレベルアップにつながりました。

大学生活で印象に残っていることはありますか?

将棋部で過ごした日々が、とても印象に残っています。毎日部室に顔を出しては、部員たちと他愛もない世間話から棋譜の検討まで、さまざまなことについて語り合いました。将棋は大学に入ってから本格的に始めたのですが、春と秋には大会があるので、試合が近くなると夜遅くまで部室で棋譜について議論を交わし、帰り道に立ち寄ったラーメン屋でも、自然と将棋の話になるほど真剣に打ち込んでいました。強豪大学がひしめく大会では、目標にしていたAクラス入りは叶いませんでしたが、部員たちと切磋琢磨しながら腕を磨く日々は、公務員を目指して勉強漬けだった大学生活の癒しにもなり、私の大学4年間を充実したものにしてくれたと感じています。

公務員試験のために、どのような準備をされたのですか?

試験勉強の途中で新型コロナウイルス感染症の流行、いわゆる「コロナ禍」で、大学の閉鎖や採用試験の延期などが重なりました。自宅に閉じこもっているしかなかったので、何から手をつけて良いのかわからず、不安な日々の中で、気持ちが落ち込んでしまう日も少なくありませんでした。そんな時に私を助けてくれたのが、公務就職支援室の職員の方でした。今後取るべき対策について電話で相談したのですが、私の不安な思いを受け止め、延期になった試験に向けてやるべきことをアドバイスしてくださいました。これをきっかけに気持ちを切り替えることができ、自宅でも問題集や過去問に集中して取り組めたので、とても感謝しています。
また、面接対策として模擬面接をする学生が多い中、私は特に力を入れませんでした。と言うのも、もともと先輩から「大学生活を通して、頑張ったと言えることをひとつで良いからつくっておけよ」と言われていたことから、ゼミや部活動に力を入れて取り組み、アピールする材料が豊富にあったからです。中でも、ゼミ活動で参加した「やお未来創造委員会」では、商品を企画するだけではなく、実際に商業施設への出店交渉も経験させていただきました。多くの企業の方々と顔を突き合わせて議論する機会を与えていただいたので、それがそのまま面接の練習の役割を担っていたと感じています。

本番の試験でも、その成果は発揮できましたか?

はい。筆記試験は全般的に十分な手応えがありました。各府省が独自に行う「官庁訪問」という面接試験でも、ゼミや部活動で取り組んできたことについて自信を持って話すことができたので、内容には満足していましたね。公務員試験を受ける人は民間企業の採用試験も受ける人がほとんどですが、私は公務員一本。不安がなかったと言えば嘘になります。そのため、合格とわかった瞬間は、正直ホッとしました。最後の一年間は、コロナ禍でいろいろと大変でしたが、試行錯誤しながら取り組んできた努力が報われ、本当に嬉しかったですね。

今後の抱負をお聞かせください。

面接で、「農業従事者を増やすためにはどうすればいいと思いますか?」と質問された時、とっさに「小学校などの初等教育から農業に触れる機会を増やし、農業に対する理解や親しみを深めていくべきです」と答えました。しかし、答えは決してひとつではないはずです。関東農政局は、関東にある1都9県の特性を活かした農業行政を総合的に推進する農林水産省の地方支部局。農業や食の未来を担う重要な仕事であるため、これからさらに見識を深めながら、面接で受けた質問に対する自分なりの答えを見つけたいと思っています。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学に入学すると、生活スタイルが大きく変わります。時間もたくさんできるので、自分の気持ち次第で夢に近付けるかどうかが決まります。何かひとつでいいので、学生生活を通して打ち込めることを見つけてください。私の場合、それはゼミと将棋部でした。有意義な時間を過ごすことが、自身の夢に近づくことになるはずです。大学での4年間を存分に楽しんでくださいね。

※掲載内容は取材当時のものです。

将棋部

将棋は、チェス・囲碁と同様にボードゲームとして、世界で多くの競技人口を誇る卓上ゲームです。
古来から子どもが慣れ親しんできたお馴染みのゲームですが、その内容は奥深く、試合では知的な魅力のみならず、集中力や体力、気力を互いに争い、「卓上の格闘技」とも呼ばれています。
経験のある人だけでなく、大学で将棋に興味を持った人もいますので、初心者の人も安心して参加できる部活です。
また、奨励会三段のOBを大学外講師としてお招きしているので、指導を受けることができ、将棋の上達には困らない環境となっています。
経験者の方はもちろんのこと、未経験の方でも、将棋に興味のある方などは、ぜひ一度、部室に来てください。

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