公務員・教員

震災の地・神戸で育った私だからこそ、
兵庫の人々を守り、支える警察官になりたい。

兵庫県警察 合格小野山 雅子 さんMasako Onoyama法学部法律学科卒(2019年3月) / 兵庫県立 兵庫高校 出身

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兵庫県警察の採用試験合格、おめでとうございます。
まずは、警察官を志したきっかけについてお聞かせください。

ありがとうございます。
はっきりしたきっかけを思い出すことはできませんが、小学生の頃から警察官には憧れていて、「将来、警察官になりたい」と両親に伝えたら大賛成してくれたのを憶えています。小学校の卒業文集にも、警察官になるのが夢だと書いていました。兵庫の小学校では、阪神・淡路大震災の教訓から防災に関する授業があるので、人の助けになりたい、地域の力になりたいという思いが自然と育まれていったんだと思います。
警察官への漠然とした憧れが、明確な夢に変わったのは中学生の時。 1週間の職業体験で、兵庫県の長田警察署に行ったのがきっかけでした。署内に流れる凛とした空気や、キビキビと働く警察官の姿を目の当たりにして、「やっぱり、私が働くべき場所はここだ。警察官こそ、私の天職だ」と、直感的に思いました。

経法大に入学されたのは、警察官をめざすのに最適だと思われたからでしょうか?

そうですね。でも最初は、国立大学への進学をめざしていました。残念ながら国立には落ちてしまいましたが、それをきっかけに警察官という夢に直結している大学を探すようになり、経法大に出会うことができました。
経法大には様々な特色がありますが、一番魅力を感じたのは、やはり法学部の公務員コースと「Sコース(特修講座)」の存在です。「この大学なら、警察官という私の夢を強力にバックアップしてくれる」、そう確信した私は、経法大に進学することを決心しました。すでにオープンキャンパスも終わっている時期だったので、一人で花岡キャンパスを訪れ、キャンパス内を見てまわりながら、将来の大学生活に思いを馳せていました。

警察官をめざして、経法大ではどのような学修に取り組んでこられたのですか?

1年生から「Sコース(特修講座)」の公務員講座を受講し、4年生までみっちり試験対策を行ってきました。授業では過去問をひたすら解き、行き帰りの電車の中では、自分で買った参考書で暗記問題の勉強をすることで、効率良く試験勉強を進めることができました。
さらに、2年生になってからは「公務員特別演習」も履修し、警察官に必要な意識や資質について学ぶことができました。グループディスカッションや集団面接の練習もあったので、本番の試験でも役立つ実践力が磨けたと思います。実際、兵庫県警の採用試験には集団討論があり、公務員特別演習で取り上げたテーマがそのまま出題され、とても驚きました。
また、「警察学入門」では、警察法の条文について学びながら、警察責務を法的に理解することができ、とても面白かったです。元警察官の先生がリアルな経験談を交えて教えてくださるので、警察官という職業を様々な側面から捉えることができたと思います。
他にも、「刑事裁判と法」では、警察官には必須の知識である刑事手続法についての理解を深めることができました。

大学生活を振り返って、印象に残っていることはありますか?

兵庫県警察本部サイバー犯罪対策課のボランティア活動に参加したことです。サイバー犯罪対策課は、悪質なサイバー犯罪を取り締まる一方で、兵庫県の小学校などで防犯教室も開催しています。私は、その防犯教室にボランティアスタッフとして参加し、ネットやSNSの危険性を教える授業の一部を担当していました。
小学生相手とはいえ、最初はやはり緊張しましたね。でも、実際の警察官の立場で考えれば、小学生を危険から守るための大切な職務のひとつなので、そんなことは言っていられません。どんな言葉で、どう伝えるのが一番いいかを自分で考え、警察官の方と事前打ち合わせを重ねながら、真剣に取り組みました。
ボランティアではありますが、この防犯教室を通して、警察官としての責任感を少しは学び取れたと思います。また、いつも女性警察官の方と一緒に行動していたので、採用試験や日々の業務について、いろいろな話を聞くことができたのも大きかったです。さらに、ボランティア活動の最後には、サイバー犯罪対策課発行の願書もいただくことができました。見る人が見れば一般願書と違うとわかるそうで、とても有り難かったですね。

採用試験に向けては、どのような準備をされましたか?

3年生の9月に、兵庫県警が行っているインターンシップに参加しました。警察学校の授業風景や施設などを見学させていただき、犯罪被害者遺族の方の講話も聴かせていただいたのですが、遺族の方のお話は今でも強く心に残っています。遺族の方が語ってくださったのは、今から20年以上前の事件について。個人的には、かなり昔の話を聞いている感覚でしたが、途中で声を詰まらせる場面が何度かあり、時間が経っても解決できない「遺族の心に残る傷」の深さを思い知りました。また同時に、警察官の責務の重大さを再認識し、身の引き締まる思いがしました。
就活直前の2月には、2泊3日の就活実践キャンプにも参加しました。いよいよ目前に迫ってきた就活本番に、プレッシャーや焦りを感じながらの参加でした。それまでの授業で集団面接やグループディスカッションの練習経験はありましたが、個人面接の練習はこの時が初めて。緊張をしていたこともあって、自分の思いをうまく言葉にすることができず、気がつくと涙を流していました。当時は、なぜ泣いているのか自分でも分かりませんでしたが、言葉にできないもどかしさや悔しさで胸がいっぱいになり、涙となって溢れ出したんだと思います。就活本番前に、この経験ができて本当に良かったです。
事前準備が足りなかったことを痛感した私は、その夜、友人たちと集まり、自己PRと志望動機を固めるための勉強会を開きました。面接練習で聞かれた質問内容を共有し、お互いの長所と短所を言い合いながら、遅くまで議論を交わしました。この時に決めた内容は、実際の就活でも軸になったので、とても有意義な内容だったと思います。
あとは、Sコースの公務員試験直前対策講座で試験の総仕上げをし、ゼミや公務員特別演習の先生にお願いをし、何度も何度も面接練習に付き合っていただきました。警察官という夢を叶えるために選んだ大学だったので、「ここで力をつけて結果を出さないと意味がない」と思い、必死に取り組んでいたわけですが、何度も面接練習に付き合っていただいた先生方には、本当に感謝しています。
また、大阪府警の過去5年間分のエントリーシートも研究しました。兵庫県警の採用試験にエントリーシートはありませんが、自分を見つめ直し、考えを整理するのにとても役立ちましたね。

本番の試験でも、その成果を発揮することができたのでしょうか?

はい。先に大阪府警の試験があったのですが、エントリーシートは過去問で取り組んだ設問がそのまま出されたので、自信を持って書くことができました。結果、兵庫県出身者でありながら、大阪府警にも合格することができ、兵庫県警の試験には少し余裕を持って臨むことができました。
本命の兵庫県警の試験は、一次が教養と論文で、二次が個人面接、集団面接、集団討論に体力試験という流れです。一次はSコースで学んだ成果を発揮して、問題なくクリアできました。二次の面接はインターンシップなどで顔見知りになった方が面接官にいたので、アットホームな雰囲気のなかで受けることができましたが、逆に手応えを感じることはできませんでした。
また、集団討論では、「高齢者の特殊詐欺被害を減らすには?」という公務員特別演習でやったテーマと同じお題が出され、「警察だけではなく家族も巻き込んだ対策を取る」という公務員特別演習と同じ結論に落ち着いたので、「これで良いのかな?」と不安になったくらいです。
だから、兵庫県警の本部まで合格発表を見に行った時は、ドキドキと不安が入り混じった、なんとも言えない心持ちでしたね。でも、県警本部に着くと、ボランティアでお世話になったサイバー犯罪対策課の女性警察官の方が来てくださっていたので、少し気持ちが和らぎました。そして、一緒に合否を確認し、私の合格がわかった瞬間、とても喜んでくださったので、合格の喜びが倍になったような気持ちになりました。

今後の抱負についてお聞かせください。

私は、阪神・淡路大震災から復興した町・長田で生まれ育ちました。震災がきっかけで両親が出会い、この世に生まれた私にとって、毎年、追悼式で涙を流している方々を見る度に、複雑な気持ちになっていました。さらに、東日本大震災の惨状をテレビで目の当たりしたことで、「誰かを守り、地域の力になりたい」という思いがより強くなっていきました。そんな私だからこそ、これからは、大好きな兵庫県で暮らす人々と地域社会を守り続け、みんなの助けになれる警察官をめざして邁進していきたいと思っています。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学は高校とは違い、興味のあることを自由に突き詰めていける場所です。就活のアピール材料になるかどうかなんて気にすることなく、興味のあることに、どんどん挑戦していってください。その先に、自分の進みたいと思える道が、きっとあるはずです。

※掲載内容は取材当時のものです。

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