公務員・教員

学生防犯隊の活動を通して抱いた、
「大切な子ども達の未来を守る」という決意。

兵庫県警察 合格堀米 智裕 さんTomohiro Horigome法学部法律学科卒(2020年3月) / 兵庫県立 川西北陵高校 出身

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兵庫県警察の採用試験合格、おめでとうございます。
警察官を志したきっかけについてお聞かせください。

ありがとうございます。
警察官を強く志望するようになったのは、高校3年生の時に起こったパリ同時多発テロがきっかけでした。中学生の時に消防署で職業体験を行った経験から「人のためになる仕事がしたい」と思っていたのですが、市街地で起こった大規模テロに立ち向かう警察官の姿に感銘を受け、市民の安全を守る警察官という職業への思いが強くなっていきました。

警察官をめざし、どのような学修に取り組まれたのですか?

1年生から「Sコース(特修講座)」を受講し、筆記試験対策を進めてきました。私は数学系の科目が苦手だったので、基礎から丁寧に教えていただけるSコースのおかげで理解が深まりました。また、授業中に見つけた課題や疑問を、授業外の自主学修で徹底的に解決していくことで成績が大きく伸びたと感じています。
また、2年生から4年生まで履修していた「公務員特別演習」は、採用試験対策はもちろん、警察官として働く将来にもつながる非常に内容の濃い授業でした。児童虐待や薬物問題など、実際に起こっている社会問題を取り上げて、グループで議論していくことが多かったのですが、多様な意見を受け入れたうえで、自分の意見を発表できる場は、知見を深めるのに大いに役立ちましたね。さまざまなテーマについて議論を重ねることで、論理的な思考力や判断力も磨かれたと思います。この力は、本番の面接試験でも活かすことができました。4年生になってからは、警察学校で集団生活するために必要な意識や警察官として働くうえでの心構えなど、精神面を磨いていただきました。最近は警察の不祥事も多いため、言動や服装など普段の生活でも警察官としての自覚を持つことを心掛けています。
Sコースも公務員特別演習も、同じ志を持つ仲間と学べる環境だったので、時には競い合い、時には助け合い、互いに刺激し合いながら勉強に励むことができました。警察官という夢に向かうモチベーションを高いレベルで維持できたのは、仲間と切磋琢磨できるこの環境のおかげだと思います。

学生防犯隊にも参加されていたと伺いましたが。

はい。「学生防犯隊」は、女性や子どもを狙った犯罪を防止するために小学校周辺をパトロールするなど、八尾市と連携した地域防犯活動をしているボランティアサークルです。1年生から所属し、多くの活動に取り組んできましたが、私が一番印象に残っているのは、詐欺防止のために八尾市役所の方と一緒に紙芝居クイズを企画・実施したことです。地域の子どもたちに向けた活動だったので、難しすぎると理解してもらえません。でも逆に、稚拙すぎると防犯活動としての意味がありません。子ども向けの企画とはいえ、一人だけではとても解決できない難問でした。その時、実感したのが協働することで生まれる力の大きさ。市役所の方やサークルのメンバーと意見を出し合い、協力して企画を進めていくことで、全員の力が掛け合わさって大きな成果が得られるんだと身を持って知りましたし、この活動を通して、大きく成長することができたと感じています。また、こう感じるのも、多くの関係者との協働があったからこそだと思っています。学生の私たちに対して常に温かくサポートしてくださった八尾市役所や地域住民の皆様、また本プログラムに携わる大学教職員の方々や共に頑張ってきたメンバーには本当に感謝の言葉しかありません。

大学生活で印象に残っていることはありますか?

1年生の時に、「海外フィールドスタディ」でミャンマーに行ったことが印象に残っています。現地の大学生と一緒に孤児院に行って子ども達と遊んだのですが、ミャンマーの大学生はその孤児院で継続的なボランティア活動に取り組んでいたんです。プログラムの一環で訪れている私たちは、その瞬間だけのボランティアしかできません。すでに学生防犯隊に入っていた私は、現地大学生と自分の立場の違いに歯がゆさを感じ、「日本に帰ったら継続的なボランティア活動に取り組もう」と思うようになりました。
そして帰国後は、大学のある八尾市を中心に子ども達に向けた防犯活動に継続的に取り組み、その活動を通して「子どもを犯罪から守りたい」と強く思うようになっていきました。

インターンシップにも早くから参加されていたそうですね。

はい。まず、1年生の時に警察学校がどのようなものなのか、実際に自分の目で確かめてみたいと思い、奈良県警の警察学校を見学しに行きました。まだ学生の面影を残しながらも、規律とやる気に満ち溢れた姿を見て、大きな刺激をいただきました。
2年生の2月には、NPO法人のインターンシップにも参加しました。学生防犯隊の活動を通して行政の取り組みにも興味を持っていたので、NPOという立場で社会問題にどう向き合っているのかを体験してみたいと思ったんです。
3月には兵庫県警のインターンシップにも参加。警察本部や警察学校の見学はもちろん、鑑識体験や捜査書類作成体験などもさせていただきました。警察官の方の話を聞く機会もあったのですが、その方は交番勤務から鑑識や刑事、警察庁への出向など、さまざまなキャリアをお持ちだったので、「犯人を捕まえるだけが仕事じゃなく、幅広い活躍の道が広がっているんだ」という発見があり、警察官への夢が一層膨らみました。

採用試験に向けては、どのような準備をされましたか?

筆記試験対策は、Sコースと自主学修で万全の状態でした。兵庫県警の採用試験には小論文もあるので、キャリアセンターの職員の方や公務員特別演習の先生、学生防犯隊でお世話になった市役所の方など、多くの人に添削していただきました。面接練習も同様で、複数の人と何度も練習することで、さまざまな角度から自分を見つめ直すことができたと思います。
また、「就活実践キャンプ」と「公務員試験対策合宿」にも参加し、面接スキルを磨いていきました。特に「就活実践キャンプ」では、警察の採用試験に合格された先輩がメンターとして来てくださっていたので、夜中に何人もの先輩の部屋を訪れ、採用試験の体験談を聞かせていただいたり、自己PRの添削をしていただいたりと、練習だけでは身につけられない力を磨けたと感じています。

本番の採用試験でも、その成果を発揮できましたか?

1次が筆記と小論文で、2次が集団面接と集団討論、個人面接でしたが、すべての選考で磨いてきた力を精一杯出せたと思います。試験の二日前に大阪府警で拳銃が奪われる事件が発生していたので、面接では「ご両親は警察志望に反対されませんでしたか?どうやって説得されたんですか?」といった予想外の質問もありましたが、公務員特別演習のおかげで普段から問題意識を持って自分の考えをまとめる習慣が身についていたので、落ち着いて返答することができました。
ただ、自分の持っている力を発揮できたとは感じていましたが、自信や手応えは満足のいくものではありませんでした。本当に不安だったので、合格発表の前日まで二次募集に向けた筆記試験の勉強を続けていたくらいです。
だから、合格発表の日は本当にドキドキでしたね。実家のリビングでパソコンを立ち上げ、合格発表の時間を今か今かと待っていました。そして、いよいよ発表の時間。ゆっくりと番号を確認していき、ホームページ上に自分の番号を見つけた瞬間は、「ようやく夢が現実になったんだな」と喜びが込み上げてくるのを感じました。

今後の抱負についてお聞かせください。

子どもや女性、高齢者など社会的弱者が狙われる犯罪が増えているので、犯罪を未然に防いでいくことはもちろん、被害者の気持ちにも寄り添える警察官になりたいと思っています。私の場合は、特に子どもですね。少年課で子どもを薬物汚染から守るために活動したり、人身安全対策課で児童虐待にもつながるDV(家庭内暴力)対策に力を入れたり、大切な子どもの未来を守れる警察官になりたいと考えています。ここまで明確な決意を抱くようになれたのは、学生防犯隊で多くの子ども達と接し、その未来を守る重要性を肌で感じたからこそだと思っています。

受験生の皆さんへのメッセージ

資格取得に力を入れる人も多いと思いますが、ボランティア活動や海外体験など、大学には座学だけでは身につけられない学びがたくさんあります。資格取得や試験に向けた勉強も大切ですが、幅広い視野を持っていろんなことに挑戦してください。そこには、新たな出会いや課題の発見がきっとあります。自分の可能性を追求するためにも、ぜひ勉強以外の課外活動にも目を向けてくださいね。

※掲載内容は取材当時のものです。

学生防犯隊

防犯大阪経済法科大学のボランティア団体です。
キャリアセンターと共に、市・警察・地域と連携して①青パト、②防犯啓発イベントの企画・参加、③小学校での挨拶運動をしています!
『29年度安全なまちづくり団体』として大阪府から表彰されています。


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