公務員・教員

決して楽ではなかった、合格への道のり。
地元への想い、部活で得た自信、そして周囲の支えが大きな力に。

鳥取県警察 合格古河 慶子 さんKeiko Furukawa法学部卒(2015年3月) / 星槎国際高校 出身

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鳥取県警察の採用試験合格、おめでとうございます。
警察官を志したきっかけについて、お聞かせください。

ありがとうございます。
私の父も警察官なんです。その父の活躍が、町報に掲載されたことがありました。駅のトイレにたむろしていた高校生たちを見かねた父が、その高校生に声をかけて、最終的にみんなで一緒にトイレの掃除をした、という記事でした。私はそんな父の仕事を誇らしく感じ、いつしか「私も同じように自分の住んでいる町を支える仕事がしたい」と考えるようになったんです。また、高校時代にいろいろつらい思いをした時、家族や友人、地域の方々に支えていただいたことも、警察官を志す気持ちの後押しになりました。「次は私が、周囲の人たちの支えになりたい」という想いを抱いて、公務員採用試験に向けた学習環境が充実している経法大に進学したんです。私の地元は鳥取なのですが、親から離れて暮らすことで自立心を養おうと考えたことも、この大学を選んだ理由です。もともと勉強はあまり好きではなかったので、最初は、Sコースの勉強を難しく感じましたが、「警察官になりたい」という一心で、さぼることなく、まじめに受講を続けました。

大学で、勉強以外にも頑張ったことはありますか?

2年生から弓道部に入り、部活に力を注ぎました。
最初に通っていた高校でも、弓道部に入っていたんです。全国優勝をめざすほどの高校で、厳しい練習に毎日打ち込んで…。でも高校2年生の時に学校を変わり、弓道もその時に辞めてしまいました。それ以後、本当はもう弓道をするつもりはなかったんです。でももう一度始めたのは、やはりそれまでやってきたことをムダにしたくなかったからかもしれません。また将来を考えた時、今のままの自分じゃダメだ、もっと自分を成長させたい、また弓道をやれば何かが変わるかもしれない、とも思いました。
経法大の弓道部は、初心者がほとんどで、高校の時のような「全国優勝」といった目標もなく、士気が感じられないというのが最初の印象でした。そんな弓道部を変えてやろうと、私は入部早々に決意しました。リーグ戦優勝という目標を定め、部員たちのやる気を高めていくんだ、と。もちろん、最初からうまくいったわけではありません。「どうすればみんな一生懸命練習するようになるだろう?」と考え、マネジメントの本を買って読んだり、先生に相談をしたり。そんな中で、まず自分の発言や行動に責任を持つことが大事だとわかりました。自分が変われば、環境が変わり、みんなも変わる。そして、部員一人ひとりと理解を深め合うことも必要だと。幸い、上下関係にあまり厳しくない部だったので、先輩とも本音で言いたいことを言い合うことができました。そして1年後のリーグ戦で、私たちの弓道部は、2位になることができたんです。目標だった優勝には届かなかったけれど、それまでは練習試合でも勝ったことがない部だったので、ものすごい進歩でした。
私はもともと、人と接することがあまり得意ではなかったんです。でも、そんな自分を変え、成長することができたと自信を持って言える、とてもいい経験をすることができたと思います。

部活での頑張りは、警察官をめざす上でも良い経験になったんですね。

そうですね。3年生になる前くらいから、部活と並行して、公務員採用試験の受験対策に本格的に取り組むようになりました。警察署の見学に参加したり、資料やインターネットで警察の組織や階級などについて調べたり。大阪府警察を見学した時には、東日本大震災での救助活動に参加した警察官の方から体験談を聞き、その使命の重大さを再認識しました。そして説明会にも積極的に参加し、メモをとってノートにまとめるなど、まずは警察について自分が知らなかったことを知るということに努めました。また、体力検査に向けて、3年生から「フィットネス実習」という授業を選択。この授業を通じて、どのようなトレーニングが効果的かを学び、以後は大学のトレーニングルームで自主的にトレーニングを繰り返しました。
3年生からはキャリア演習にも参加。民間企業をめざす学生がほとんどでしたが、模擬面接などは警察での面接試験にも役立つと考えてのことです。実際、初めての模擬面接では緊張してしまって、何を言っているのか自分でもわからなくなるほど、ひどい有様でした。そのための対策として、「あがり症を治すには」といった内容の本を読み、周囲からのアドバイスにも耳を傾けながら、キャリア演習での模擬面接を繰り返しました。その結果、2ヵ月後の模擬面接では、先生に「とてもよかった」と褒めてもらえるほど、成長することができたんです。
公務員特別演習では、時事問題などをテーマにみんなで討論をし、最後にその内容を各自で論文にまとめる、といった取り組みを毎週行い、集団討論と小論文の試験に向けての力をつけることができました。しかも本番の鳥取県警察の試験で、小論文のテーマがたまたま公務員特別演習で取り上げたことのあるテーマと同じだったんですよ。おかげですらすらと書くことができ、助かりました。

では実際の採用試験もそれほど苦労はなかったのですか?

いいえ。実は最初に受けた鳥取県警察の採用試験では、5月の筆記試験で不合格になってしまったんです。問題は難しくなく、これまで頑張ってきた成果を発揮できたと感じたのですが、私よりも高い点数を取った学生がたくさんいて…。それまで勉強を少し頑張りすぎてあまり睡眠がとれない日が続き、体調を崩しかけていたのも、よくありませんでした。
その後、実家で少し静養して体調を整えてから、また大阪に戻り、鳥取県警察の2次募集の試験での合格をめざし勉強に取り組みました。今度は体調管理にも、十分に気を配りながら。

鳥取県警察以外は受験されなかったのですか?

力試しにと警視庁や皇宮護衛官などの採用試験も受けましたが、それらは競争率もかなり高く、合格には至りませんでした。また、それ以前には民間の警備会社の選考も受け、その会社からは内定をいただくこともできました。でも私の一番の希望は、鳥取県で警察官として働くこと。警備会社の内定は辞退し、鳥取県警察一本に絞って、合格に向けた努力を重ねました。「高校生の頃に私を支えてくれた地元の人たちのために、今度は私が支える側の役割を担いたい」という想いがあるから、あきらめようとはまったく考えませんでした。
また、そうした高いモチベーションを保ち続けるために、ボランティアで八尾市の「青色防犯パトロール」にも参加しました。市役所の方々と市内をパトロールし、登下校する小学生たちとあいさつを交わす中で、「私は地域の人々を支える仕事がしたいんだ」という気持ちを再確認することができ、強い意志を持ってラストチャンスとなる試験に臨むことができたと思います。

2次募集での試験に合格された時の喜びは、大きかったでしょうね。

はい。2次募集での筆記試験は1回目よりも難しく感じましたが、なんとかクリアすることができ、面接でも、これまで模擬面接を繰り返してきた成果を活かすことができました。
それでも、合格を知るまでは不安でしたね。鳥取からまた大阪に戻ってきて、発表の日を待って…。鳥取県警察のホームページで自分の合格を確かめたその直後、私は声を出して泣きました。そしてひとしきり泣いたあとは、思いっきり笑いましたよ。実家に電話をすると、親も「よかったね」とやさしく言ってくれました。体調を崩した時には心配をかけましたし、いい報告ができて本当に良かったと思います。そして一緒に勉強を教え合い、励まし合ってきた友人や、2次募集の試験の直前にも模擬面接をしてくれたキャリア支援課の方など、たくさんの人たちへの感謝の気持ちがあふれました。周りの支えがあったからこその合格だったと、心から感じています。

今後の抱負についてお聞かせください。

地域の人たちを支える警察官になりたい、という気持ちはずっと変わりません。具体的なイメージとしては、気軽に相談できる、安心感を与えられるような警察官になれれば、と思います。
配属の希望は、生活安全部の少年課。大学のゼミでも少年法について深く学びました。高校生の頃は私もいろいろなことがあったので、多感な年頃の少年たちの支えになりたいという思いがあります。私も周囲の支えがなければ、非行に走っていた可能性だってないとは言えない。だからこそ、私より若い世代の人たちが間違った道に進むことのないように、力を尽くしたいと思います。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学での4年間をどう過ごすかで、未来は変わります。私は、自分の成長のために時間をかけるのが一番いいと、大学生活を通じて強く感じました。特に部活での経験はとてもいい勉強になりました。自分の好き勝手な思いだけでは何もなしえない、集団で目標に向かうことの難しさ。それを学びながら、みんなの気持ちを一つにすることができたという経験は、これから先の人生にもつながっていくことだと確信しています。みなさんにもぜひ、大学でしかできない、貴重な経験をしてもらいたいと願っています。

※掲載内容は取材当時のものです。

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