公務員・教員

消防官になることだけを考え、頑張り続けた4年間。
地元消防局の合格という、最高の結果につながった。

善通寺市消防本部 合格森本 翔太 さんSyouta Morimoto法学部法律学科卒(2018年3月) / 香川県 善通寺第一高校 出身

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善通寺市消防本部の採用試験合格、おめでとうございます。
消防官をめざそうと考えたのは、いつ頃からですか?

ありがとうございます。
消防官には、小学生の頃から憧れを感じていました。きっかけは、レスキュー隊員の活躍を描いたテレビドラマです。そこから、現実の災害時に人命救助活動に努める人々の存在に注目するようになり、「自分もいつか、そんな仕事ができれば」と思うようになりました。
そして高校で進路について考えた時、「やはり消防官しか考えられない」という想いから、消防官になるための勉強ができる大学への進学を希望。いろいろな大学について調べた末、法学部に公務員コースがあり、公務員採用試験において高い合格実績を持つ経法大に入学しました。

消防官になるために、大学ではどのような学修に取り組んでこられたのですか?

法学部の授業やSコース(特修講座)の公務員講座を通じて、公務員採用試験の対策に取り組みました。Sコースは1年生から受講し、最初に公務員採用試験でどのような問題が出題されるのかを知ることができたのが良かったと思います。ただ、出題科目数が多く、そのすべてを頭に叩き込むのは大変でした。得意な数学系は解き方さえ理解できれば応用が利きますが、歴史などの社会科系の科目は暗記しなければならないことが多いので、そこに苦心しました。それでも本番の試験直前に詰め込むのではなく、1年生の時からこつこつと学修を積み重ねてきたことで、しっかり憶えきることができたと思います。
また公務員特別演習では、面接やグループディスカッション、論文などの試験対策について、具体的な指導を受けることができました。

学生消防隊「SAFETY」にも参加されていますね。

はい。3年生の夏に「SAFETY」が発足し、その時からずっと参加しています。
発足式の日に行われた合同訓練では、放水や傷病者搬送などの実地訓練を体験し、可搬式ポンプの使い方や簡易担架の作成などについて学ぶことができました。以後は、八尾市各地で行われる防災訓練のサポートを中心に活動を展開。秋は火災が増えるということもあり、発足して間もない頃から、日曜はほぼ毎週この防災訓練が実施され、僕はそのほとんどに参加しました。
防災訓練では、八尾市消防本部の方々が訓練や講習を通じて、市民のみなさんに災害時の行動などについて指導を行います。その様子を間近に見て、僕は消防官の役割について改めて考えました。それまでは災害現場での活躍ばかりに目を向けていたのですが、こうして常日頃から防災に向けた取り組みを重ねることが大切なんだということを、再認識したのです。また、市内各地の消防団の方々と行動をともにするなかで、地域ぐるみで取り組む防災の大切さについても、理解を深めることができました。
このような「SAFETY」での活動を通じて、僕は消防官のリアルな実像を知ることができ、それが「消防官になりたい」という想いをいっそう強くしてくれました。面接試験でのアピール材料にもなり、参加して本当に良かったと感じています。

消防官をめざす気持ちが、揺らぐことはなかったのですか?

消防官以外にやりたいと思う仕事はなかったですし、気持ちの変化はまったくありませんでした。中学から軟式テニスを続けてきたなかで鍛えた体力も活かせ、自分に向いている仕事だと思いました。親に「卒業後は地元の消防局で働きたい」と話して、実家のある香川県を離れ、大阪の大学で学ばせてもらっていることもあり、大学ではとにかく、消防官になるための勉強に集中しました。入学してからこれまで、遊んだという記憶がないほどです。
ただ、公務員特別演習では、「なぜそんなに消防官になりたいのか?」ということを突き詰めて考えるように、という指導も受けました。自分の志望動機を明確にして胸にとどめておくことは、厳しい仕事を続けていく上での支えになり、面接試験でも必ず問われることだからです。それをふまえ、先生は僕に問いかけました。「人の命を守る仕事なら、警察官も自衛隊員もある。それでも消防官を選ぶ理由は何だ?」と。僕は改めて自分を見つめ直すとともに、消防官の役割について深く考え、一つの結論にたどりついたのです。火災が起きた時、自衛隊などはいくら救助要請を受けていても、消防官が火を消さなければ救助活動ができない。真っ先に救助導線を確保するのが消防官であり、その責務を担うことこそが、僕のめざすところなのだ、と。そう気づけたことで、僕は「消防官になる」という自分の夢に、いっそう強い自信が持てました。

そうした大学でのさまざまな学びや取り組みの成果を、実際の消防官採用試験で発揮することができたのですね。

はい。筆記試験では1年生から取り組んできた対策が生き、面接試験でも、特別演習で何度も面接の練習を重ねてきたおかげで、自分の想いをしっかりと言葉にして伝えることができました。
面接試験では、試験当日のニュースについての質問も受けましたが、出掛ける前に新聞を読み、きちんと答えることができたのも、特別演習での先生の指導のおかげです。「地域の人々の力となる公務員なら、常日頃から新聞を読み、世の中のことを知っておくのは当然」と、教わっていたのです。
また自己PRでは、高校のソフトテニス部でキャプテンを務めた経験について話しました。口だけでは誰もついて来ないという考えから、当時の僕は、言葉よりも行動でリーダーシップを示しました。誰よりも真面目に練習し、後片付けなども後輩に任せっきりにせず、自分から率先して動くように心がけ、それでメンバーたちと信頼を築いていきました。この経験は、面接官の方にも関心を持ってもらうことができ、評価にもつながったと思います。

そうして念願の地元消防局の合格を勝ち取ることができたのですね。

はい。善通寺市消防本部と仲多度南部消防組合消防本部という、香川県内でも実家に最も近い、2つの消防本部から合格という結果をいただくことができました。
先に合格の知らせを受けたのは、仲多度南部消防組合消防本部でした。簡易書留で分厚い封書が届き、すぐに「不合格なら書留では送ってこないはずだし、こんなに分厚いのも合格者に向けた書類がたくさん入っているからだ」と思ったのですが、それでもドキドキしながら封を開け、合格という文字を確かめた時、喜びが一気に爆発しました。何年もずっと、消防官になることだけを考えてきたので、すごく嬉しかったですよ。
その後、善通寺市消防本部からも合格通知が届き、その時もすごく喜んだのですが、仲多度南部とどちらを選ぶかでは、とても悩みました。でも善通寺市消防本部のほうが取り組める仕事の幅が広く、いろいろなことに挑戦できるチャンスが多いと感じ、善通寺市消防本部で働くことを決意しました。

今後の抱負についてお聞かせください。

たいへんな仕事であることは間違いありませんが、こんなにも強く「なりたい!」と願い続けて頑張ってきたので、つらいと感じた時も初心を思い出し、経験を積み重ねていくことができれば、と思います。
目標は、レスキュー隊員になること。最前線での救助活動で活躍したいと考えていますので、そこに向かって日々全力を尽くし、周囲の信頼を得ていきたいですね。まずは消防学校での訓練を、頑張ります。厳しいと言われますが、それよりも楽しみのほうが大きい。やっと本当にスタート地点に立てることが、嬉しくてたまりません。

受験生の皆さんへのメッセージ

将来の目標がはっきりしているのなら、そこに向けた準備は早いほうがいいと思います。僕自身も、大学に入ってすぐ、消防官の採用試験に向けた勉強を始めたことが、最高の結果につながりました。これから入学する人には、学生消防隊「SAFETY」にも、ぜひ入ってもらいたいですね。消防官をめざす人はもちろん、警察官など公安職をめざす人、行政職など地域の人々のために働きたいと考えている人にとっても、「SAFETY」は貴重な体験ができる場になると思います。充実した大学の制度や環境をフルに活用して、ぜひ夢を実現してください!

※掲載内容は取材当時のものです。

学生消防隊
「SAFETY」

八尾市消防本部との協定により、2016年7月、大阪府で初となる学生消防隊「SAFETY」が本学で発足されました。第一期のメンバーは、消防官や警察官をめざす学生を中心とする50名。八尾市消防本部の消防官による指導のもと、放水訓練や傷病者搬送訓練、AEDの使い方講習等に取り組み、八尾市消防本部の防災設備査察に同行するなど、積極的な防災支援活動を展開。地域防災に貢献するとともに、体験から学べる、実践的なキャリア教育の場となっています。

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