公務員・教員

救急と救助、どちらの道に進むにしても、
「人の助けになる」という思いにブレはない。

東京消防庁 合格角谷 謙一 さんKenichi Kakutani法学部法律学科卒(2019年 3月) / 大阪府 阪南大学高校 出身

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東京消防庁の採用試験合格、おめでとうございます。
消防官を志したきっかけについて、お聞かせください。

ありがとうございます。
消防官を志したのは、高校生の頃です。駅のホームで転落事故に遭遇したんですが、その時、転落した人を救助したのが偶然居合わせた消防官の方でした。このことは、ニュースにもなって、僕の中で「消防官は火災現場で消火・救助活動するもの」というイメージが一変。あらゆる場面で救助活動を行う消防官の行動力やたくましさに惹かれ、志望するようになりました。

消防官になるために、どのような学修に取り組んでこられたのですか?

1年生の時から「Sコース(特修講座)」の公務員講座を受講し、公務員採用試験の対策に取り組みました。ただ、少しずつ楽な方へと気持ちが傾いてしまい、勉強する時間はどんどん減っていってしまいました。
そんな時、「公務員特別演習」で消防学校を見学させていただく機会がありました。消防官をめざして自分を磨いている学生の姿を目の当たりにし、現場の空気を肌で感じられたことで、消防官を志したときの強い気持ちが蘇ってきました。
また、「公務員特別演習」では、面接練習にしっかりと取り組むことができました。みんなの前で面接練習をするので、周囲から客観的な意見をもらうことができましたし、他の人の志望理由を聞くこともでき、とても勉強になりました。この面接練習を経験できたおかげで、自分の考えやアピール内容を固められたと思います。入退室時の振る舞いなど、細かい部分も指導していただけたので、本番の試験でも大いに役立ちました。

アルバイトでの経験も採用試験に役立ったそうですね。

はい。プールの監視員をやっていたのですが、このアルバイトを通して消防官に必要な素養を磨くことができたと思っています。溺れた人を実際に救助する経験を積むことができましたし、危険な場所を見つけ出す力を磨くこともできました。また、その情報を仲間と共有するコミュニケーション力も培うことができたと思います。この経験や力は、消防官になってからも必ず活きてくるはずだと考えていたので、本番の採用試験で、「力を入れて取り組んできたことは?」という質問に対して、自信を持ってアルバイトでの経験をアピールできました。

学生消防隊「SAFETY」にも参加されていますね。

はい。八尾市消防本部の方と一緒に、学校や公園で行われる防災訓練のサポート活動を行いました。AEDや可搬式ポンプの扱い方、簡易担架の作り方など、多くの防災知識を学ぶことができましたが、一番大きな学びは別にありました。それは、地域住民の方との触れ合いを通して、防災意識を高めていくことの大切さ。火災が起こった後に消防官が活躍するのは当たり前ですが、火災が起こる前にも消防官には重要な仕事があることを初めて知りました。現役の消防官の方と話したり、実際の仕事を間近で見たり、とても貴重な経験ができたと思います。
また、3年生の時の経法祭では、SAFETYの活動紹介としてブースを出店したのですが、そこに偶然、消防関係者の方が来てくださいました。その方と話をしている中で、「消防官をめざしている学生は、専門学校に行って筆記試験対策に力を入れていることが多いよ」と言われたんです。筆記試験対策にそこまで力を入れていなかった僕は、大きな焦りを感じました。

筆記試験対策はどのように進められたのですか?

もう一度Sコースの勉強に力を入れようともしましたが、今までサボっていたツケが回り、授業内容についていけませんでした。どうしようかと思案した結果、一念発起して自分のレベルに合った専門学校に入学。3年生の11月になって、ようやく筆記試験対策に本腰を入れたわけです。
専門学校では基礎的な部分の勉強からやり直しましたが、それでも最初のうちは周りのレベルについていくのが大変でした。数的処理などの数学系が苦手だったので、毎日反復して勉強することで、なんとか追いつくことができ、少しずつ筆記試験への手応えを感じられるようになっていきました。
SAFETYに参加して、経法祭で消防関係者の方に出会ってなければ、僕は本気で勉強をはじめていなかったかもしれません。ですから、この時の出会いには本当に感謝しています。

就活実践キャンプでは、試験への自信を深められたそうですね。

はい。「公務員特別演習」でも面接練習をしていたので、ある程度の自信はありましたが、本番さながらの実践的な面接練習は初めてだったので、とても良い力試しになりました。「消防で働きたい。とにかく人の助けになりたい」という素直な気持ちをストレートに表現した結果、面接担当の先生からも「志望動機もうまくまとまっているし、受け答えもしっかりしている。そのままで大丈夫だよ」と言っていただき、自信を深めることができました。

東京消防庁の採用試験でも、培ってきた成果を発揮できたのでしょうか。

そうですね。一次の筆記試験は、短い期間で集中して勉強に取り組んだおかげもあり、落ちる気はまったくしませんでした。大阪で受験できたので、あまり緊張もしなかったですね。
二次の面接試験と体力試験は東京での受験だったので、少しは緊張するかなと思っていましたが、本番ではほとんど緊張しませんでした。きっと、取り繕った自己アピールではなく、自分の思いを自分の言葉で素直に話すことができたからだと思います。体力試験も、普段から走り込みをして体を鍛えていたので、問題なくクリアできました。
筆記試験対策を始める時期が遅くなってしまったことを除けば、消防官をめざして取り組んできたすべてのことが、採用試験合格にしっかりと結びついたと感じています。

今後の抱負についてお聞かせください。

救急を志望しているので、消防学校に入学してから必要な知識を勉強していこうと思っています。いずれは救急救命士の資格も取得して、救急車に乗って救急の最前線に立ちたいですね。
ただ、東京消防庁には、レスキュー隊の最高ランクに位置する「ハイパーレスキュー(消防救助機動部隊)」が設置されているんです。ハイパーレスキューは大規模な災害に対応するための特殊部隊で、設置されているのは全国で東京消防庁のみ。他の消防署なら迷いなく救急に進んでいたと思いますが、せっかく東京消防庁に入庁するので、今は救助の道に進むのもいいかなと迷いはじめています。
ただ、いずれの道に進むとしても、「人の助けになりたい」という思いにブレはありません。ライバルは多いですが、必ず消防学校をトップで卒業し、一日でも早く消防官として現場に立つことが今の目標です。

受験生の皆さんへのメッセージ

公務員をめざしている人は、ぜひ試験対策の勉強を早くから始めてください。勉強はやった分だけ差が出ます。僕は、最後の最後にお尻に火がつき、短期間で集中して取り組めましたが、周囲に追いつくのには、とても苦労しました。また、普段の授業も大切にしてほしいですね。授業から学べることはたくさんありますし、1年生からしっかり授業を取っていれば、試験対策の勉強をする時間も取りやすくなります。大学には、自由に使える時間がたっぷりあります。それをどう使うかは自分次第。ぜひ、有意義な時間を過ごしてください。

※掲載内容は取材当時のものです。

学生消防隊
「SAFETY」

八尾市消防本部との協定により、2016年7月、大阪府で初となる学生消防隊「SAFETY」が本学で発足されました。第一期のメンバーは、消防官や警察官をめざす学生を中心とする50名。八尾市消防本部の消防官による指導のもと、放水訓練や傷病者搬送訓練、AEDの使い方講習等に取り組み、八尾市消防本部の防災設備査察に同行するなど、積極的な防災支援活動を展開。地域防災に貢献するとともに、体験から学べる、実践的なキャリア教育の場となっています。

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