公務員・教員

「大阪府を防災モデル都市に」
同じ志を持つ仲間と共に過ごした4年間が
夢を叶える原動力に。

大阪府庁採用試験 合格沖津 志帆子 さんShihoko Okitsu法学部法律学科卒(2024年3月) / 大阪府立 いちりつ高校 出身

前へ

次へ

大阪府庁職員採用試験合格、おめでとうございます。
公務員を志すようになったのは、いつ頃からですか?

両親が国土交通省に勤めており、幼い頃から公務員はとても身近な存在でした。国や自治体が河川や道路の管理などを担っていることを昔から両親から聞いて知っていました。災害が起きる度に、国民のために安全確認の対応を取る姿を何度も見ていたので「私たちが当たり前の生活を送れているのは、公務員の方々が陰で支えてくれているからだ」という思いが心の中にありました。そのため、高校3年生になって将来の進路を考えた際、両親の姿が思い浮かんだのは、私にとって自然なことでした。国民の安全を守るとてもやりがいのある仕事だと両親が話しているのを聞いて育ったので、公務員を目指す決意が固まりました。そのため、「公務員特別演習」をはじめ、公務員を目指すための学修環境が充実し、公務員試験の合格実績も高い経法大へ進学することに決めました。

大阪府庁に興味を持たれたきっかけは何ですか?

最初は漠然と「就職するなら両親と同じ国土交通省かな」と考えていました。しかし、災害時に駆けつけていた両親の影響もあり災害対策に関心を寄せていたので、管轄の広い国家公務員よりも地域に密着した施策を行っている地方公務員に魅力を感じるようになりました。その中でも私の地元である大阪府は、南海トラフ地震をはじめとする災害への対策に力を入れている自治体です。府民のスマートフォンに災害情報を一斉送信する「大阪880万人訓練」もそのひとつで、この訓練を通して防災への意識を高めてもらうことが目的です。このような災害対策に魅力を感じたと同時に、大阪府庁では、ボランティアサークルで培った地域課題への知見も活かせると考え、志望するようになりました。

大学ではどのような学修に取り組まれたのですか?

「行政法総論」の授業では、行政法の基本概念から行政活動の仕組み、情報公開条例などの手続き方法まで、行政職員として役立つ知識を学修しました。特に情報公開条例に関しては、どのような手続きがあり、どこまで情報が公開できるかなど、具体的で実践的な知識を修得できました。実際に公務員として幅広い業務に携わってきた先生が、実務的な話だけでなく、採用試験を見据えた判例の詳細解説も行ってくださいました。そのため行政法に関する基礎を固めることができました。
他にも「地域政策」では、地域ごとの課題と、その解決に向けた取り組み事例を数多く学ぶことができました。この課題にはどのような施策が有効かといった分析・検討も実践したことで、行政の視点で物事を考える意識と習慣が身につきました。
また、公務員の筆記試験対策として、「Sコース(特修講座)」を受講しました。頻出分野や間違えやすい問題の解き方など、実践的なノウハウを惜しみなく教えていただけたので、効率的に試験対策を進めることができました。Sコースやゼミで公務員を目指す仲間と一緒に勉強することでモチベーションを高く維持できました。勉強する習慣も身につき、自分を高めるいい機会になったと感じています。

公務員特別演習では、大きな成長を感じたそうですね。

経法大へ進学する動機のひとつでもあった「公務員特別演習」では、公務員に必要な素養を身につけるだけでなく、採用試験に向けた実践的な対策も行いました。なかでも印象に残っているのは、グループディスカッションです。実際に採用試験で出題されたテーマをもとに何度もディスカッションを行い、司会進行やタイムキーパー、書記、発表者など、すべての役割を経験しました。私はグループを引っ張っていく司会進行が向いていると自分では思っていましたが、議論の流れとメンバー全員の状況を見ながら進行する必要があるため、全員が意見を出し合える場雰囲気を作り出すのは想像以上に難しかったです。しかし、繰り返し経験することで、少しずつ全体を俯瞰しながら議論を進行させることができるようになり、グループディスカッションのメンバー全員からさまざまな意見を引き出せるようになっていきました。
また、公務員として働いているOB・OGの方を招き、「日々どのような想いで、業務に携わっているのか」といったリアルな話を聞く機会もありました。なかには私のイメージとはかけ離れたものもあり、公務員像をより的確にとらえることができました。たとえば、「公務員は住民の生活をより良くするために働く」ことは当たり前で、「住民目線で物事を捉え、どこに課題があるのか発見することが最も重要である」という話にハッとさせられました。「自分の足で情報を収集することも多く、会議室やデスクではなく、地域の現場で課題を発見する」という話も、私が抱いていたデスクワークのイメージとは異なり、新鮮な発見がありました。
「公務員特別演習」はとても中身の濃い授業でした。この授業がなかったら公務員の内定はいただけなかったと言っても過言ではありません。知識や経験、心構えなど、公務員を志す者にとって大切なものは、すべてこの授業で得ることができたと思っています。

大学生活で印象に残っていることはありますか?

所属していた2つのサークルでの活動が、とても印象に残っています。まず、「スタディサークル PASS」という学修サークルです。公務員志望の学生が集まり、月曜日は民法、火曜日は憲法などと曜日ごとに特定分野の勉強会を開いていました。公務員試験の勉強は範囲が広く多岐にわたるので、同じ目標に向かう仲間が集まることで、勉強へのモチベーションを高め、苦手分野を補い合いました。私は数学が得意だったので、ミクロ・マクロ経済学の計算方法などを友人に教え、反対に苦手な民法や憲法などを教えてもらいました。友人に教えることでより理解も深まり、応用にも対応できるようになったので、お互いにとってメリットは大きかったと思います。
もう1つは「創造者(ツクルモノ)」というボランティアサークルです。八尾市役所と連携し、行政課題や行政施策について調査しながら、八尾市活性化に向けて取り組みを行っているサークルです。環境や福祉など、いくつかのグループに分かれており、私は環境グループに所属していました。環境問題は多岐にわたりますが、私たちにできる身近なこととして取り組んだのがフードドライブです。フードドライブとは、食品ロスを削減するために余っている食品を回収し、福祉団体などに寄付する取り組みのことです。大学構内でのポスター掲示、インスタグラムでの情報発信などを実施した結果、多くの食品をこども食堂やフードバンクに寄付することができました。八尾市役所の方を交えた定期ミーティングも行い、行政課題を理解するだけでなく、改善に向けた活動にも携われたので、公務員への想いをより強くするきっかけにもなりました。

試験本番に向けて、どのような準備をされたのですか?

3年生の秋頃から公務就職支援室で論文やエントリーシートの添削、面接の練習などをしていただきました。論文は特に苦手でした。公務就職支援室に通い出した当初はほとんど論文とは呼べない状態だったので、書き方を一から丁寧に指導していただきました。徐々に何とか論文らしく書けるようになりましたが、公務就職支援室の職員の方からは「書くスピードは早くなったけど、内容がまだまだ薄い。課題が生まれた背景を捉えて、その解決策として導き出された施策への理解度を深めよう」とアドバイスをいただきました。そのおかげで表面的な知識として施策をとらえるのではなく、背景にある課題の本質から考えられるようになり、論文の質が改善されたと感じています。
エントリーシートは、「なぜ、大阪府なのか?」「なぜ、防災なのか?」の部分をまとめられていなかったので、公務就職支援室の職員の方が私の想いをヒアリングしながら一緒に文章にまとめてくださりました。そのおかげで志望動機として「大阪府を防災のモデル都市にする」という明確な目標を立てることができました。
面接は苦手ではありませんでしたが、早口にならないように気をつけること、具体的に話すことの2点を指摘されました。その2点を意識して何度も面接練習に励んだことで、自分でも成長を実感できるほど、改善しました。自信を持って試験本番に臨めたのは、公務就職支援室の職員の方々のおかげだと思っています。

今後の抱負についてお聞かせください。

入庁後すぐは業務を覚えることだけで精一杯になると思いますが、すべての業務を成長機会と捉えて実務の中で自分を磨いていきたいです。そして、「大阪府を防災のモデル都市にする」という夢を叶えるため、防災に関する知識を深め、災害に強い街づくりに貢献したいと思っています。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学を選ぶ時は、目標を叶えられる大学を選んでください。私の場合は公務員という目標があり、さまざまな大学を比較した結果、経法大に入学しました。入学後は目標に向かって切磋琢磨できる仲間を見つけることが大切だと思います。私は、日々の学修も、就職活動も、公務員採用試験も、すべて仲間がいたから頑張れました。どんな小さな目標でも、仲間と一緒に達成に向けて努力する時間は、大学生活を充実させる秘訣だと思います。

※掲載内容は取材当時のものです。

同じ職種・資格のストーリー