公務員・教員

正課授業とSコースの相乗効果で難関試験を突破。
不正を正し社会の根幹を支える国税査察官をめざす。

国税専門官 合格布引 勇気 さんYuki Nunobiki法学部法律学科卒(2023年3月) / 奈良県 天理高校 出身

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国税専門官の採用試験合格、おめでとうございます。
国税専門官を志したきっかけについてお聞かせください。

きっかけは、大学入学後にこのキャリアストーリーのサイトに掲載されている、国税専門官になった先輩の記事を読んだことです。それまで国税専門官という職種の存在すら知らなかったのですが、「かっこいい仕事だな」と興味を持つようになりました。
入学前は公安系職種を目指していたのですが、国税専門官について調べていくうちに、その職責の重さと重要性を知り、2年生の終わる頃には国税専門官を本気で目指す決心をしました。

国税専門官のどのようなところに魅力を感じたのですか?

先輩のキャリアストーリーを読んでたくさんの魅力を感じましたが、私が一番惹かれたのは不正を正して世の中の役に立てるという点です。私が国税専門官を目指すようになった2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で世の中が経済的に大打撃を受けた年でした。そんな中、企業の大規模な脱税事件をニュースで知り、激しい憤りを感じました。明るみに出ていないだけで、このような脱税は他にも行われていると思います。「多くの人が苦しんでいる状況下で、このような不正を許してはいけない」。そう強く思うようになり、国税専門官の中でも国税査察官を志望するようになりました。
国税専門官は、法律や会計などの専門知識を駆使して活躍する税のスペシャリストですが、国税査察官・国税調査官・国税徴収官の3つに分かれて活躍しています。私が志望している国税査察官は、裁判官から許可状を得て脱税者に対して捜査や差し押さえなどの強制調査を行い、刑事罰を求めるため検察官に告発するのが職務内容です。経済面で苦しんでいる人たちに、これ以上の皺寄せがいかないようにするためにも、世の中の不正を正していきたいと思っています。

国税専門官の試験に向けて、大学でどのような学修に取り組まれましたか?

国税専門官の試験には、教養試験や専門試験選択式、専門試験記述式があります。専門試験選択式では民法と商法、会計学の必須3科目に加え、憲法・行政法・経済学・財政学・経営学・政治学・社会学・社会事情などから4科目を選択して解答する必要があります。記述式では、憲法・民法・経済学・会計学・社会学から1科目を選択します。このように、かなり広範囲な科目から出題される難関試験なので、すべての範囲の対策をするのはとても大変でした。
合格できたのは、正課授業と「Sコース(特修講座)」の相乗効果だと思っています。1年生から正課授業で「憲法概論」、「財政法入門」、「法学の基礎」、「社会学」、「経済学入門」、「民法総則概論」といった幅広い科目の基礎知識を得ることができ、2年生からも「公務員のための憲法」、「物権法概論」「不動産と法規制」「民法総則」といった授業で専門知識を深められました。経法大には「警報相互乗入制度」があり、法学部生でも「経済学入門」など、経済系科目を広く履修することができました。
これらの授業を履修してしっかり土台を築いたので、「Sコース(特修講座)」の学修もスムーズに理解することができました。わからないところは、その日のうちに先生に質問し、その後も反復して学修することで理解の定着を図りました。特に経済学は難しかったので、動画配信の授業を何度も見直して学修しましたね。その甲斐あって、最初は苦手に感じていた科目でしたが、試験本番では得点源にすることができました。憲法や行政法、民法なども難しい科目ではありますが、Sコースの先生の解説がとてもわかりやすかったので、自信を持って本番に臨むことができました。

大学生活で印象に残っていることはありますか?

3年生の時にグループで学生研究発表大会に出場したことが印象に残っています。研究内容は「マイナンバー制度について」。政府はなかなか普及が進まないマイナンバーカードを、マイナポイントという特典をつけることで広めようとしていますが、いまだにマイナンバー制度自体には賛否があります。個人情報という観点から考えるとマイナンバーカードに慎重になる気持ちも理解できます。しかし、さまざまな手続きを簡略化・一元化できるというメリットもあるため、メリットとデメリットを整理し、研究発表を行いました。
研究過程では、自分の意見に関係なく賛成と反対の立場にわかれてディベートを行うことで、双方の客観的な課題や要点をまとめました。意見を集約していく際、苦労したのが各メンバーの主観を排除することです。ディベート形式で客観的に意見を出し合ったとしても、どうしても集約していく段階で主観的な意見が出てしまいます。そのバランスを全員で議論しながら資料をまとめていく過程は、とても充実した時間だったと感じています。
発表自体は緊張から思うような成果を発揮することができませんでしたが、研究をきっかけに時事問題に関心を持つようになり、自分なりの考えを持つことの大切さを学ぶことができました。

試験本番に向けて、どのような準備をされたのですか?

Sコースなどの学修以外でも、図書館に毎日通って自主勉強をしました。図書館で勉強しているメンバーは、いつも同じ。全員公務員採用試験合格を目指している同志のような存在だったので、仲間が勉強している背中を見ているだけで、モチベーションが上がりました。
試験直前は公務就職支援室に通って、面接対策にも力を入れました。週に2度は通っていたと思いますが、面接の練習をしていただく度に課題が浮き彫りになり、どんどん成長している実感がありました。私としては国税専門官について綿密に調べているつもりでしたが、模擬面接で受け応えをする中で、知識不足や志望動機の弱さが露呈したり、語彙力の無さを実感したりすることが多かったですね。それらの点を丁寧に指摘していただき、改善につなげることで、自分でも受け応えがうまくなっていくのが実感できました。さらに、うまくなりすぎると面接対策を徹底してきたと思われ、通常よりも深く追及されることがあるので要注意というアドバイスもいただいたので、伝えたいことを自分の言葉で素直に話すように意識しました。

本番の試験でも、その成果は発揮できましたか?

本番の試験は、午前中に教養試験、午後から専門試験というスケジュールでした。午前中の教養試験が予想外にうまくいかず、午後からの専門試験選択式は精神的に追い詰められた状態で受けることになってしまいました。さらに追い打ちをかけるように、記述式の形式が今年から変更され、どん底に落とされたような気持ちになりましたね。それでも、最後までやりきろうと何とか気力を振り絞ってペンを走らせましたが、ほとんど諦めに近い気持ちで帰路についたのを覚えています。ところが、自己採点をしてみると教養試験は5割、専門試験選択式は過去最高点をマークしていたので自分でも驚きました。試験当日は不安でしたが、日ごろの学修の成果を発揮できたとわかり、安心しました。
面接は公務就職支援室で対策をするなど、しっかり準備していたので、不安も緊張もなく本番に臨めました。自分の考えをしっかり伝えて、何の問題もなく終えることができましたね。

今後の抱負についてお聞かせください。

国税専門官は税のスペシャリストなので、まだまだ学ぶべきことはたくさんあると思います。配属後も日々の業務の中で学びながら、国税査察官という大きな目標に向かって成長していきたいですね。そして、一人でも多くの国民の役に立てるように、不正を正して社会を根幹から支えていきたいです。

受験生の皆さんへのメッセージ

私は公安系職種を志望して経法大に入学しましたが、途中で進路を変更し、見事に希望通りの進路へ進むことができました。これは充実した学修環境と支援体制が整っている経法大だから実現できたことだと思います。進路が決まっていない方でも安心して入学してください。経法大ならきっと、自分の進みたい道が見つかるはずです。

※掲載内容は取材当時のものです。

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