進学

めざすのは、社会的弱者に寄り添える弁護士。
法律事務所でのインターンシップが、転機となった。

関西学院大学大学院司法研究科、同志社大学大学院司法研究科 合格朝若 翔悟 さんShougo Asawaka法学部卒(2017年3月) / 兵庫県立 相生高校 出身

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法科大学院の入学試験合格、おめでとうございます。
法律家への道を歩もうと考えたきっかけについて、お聞かせください。

ありがとうございます。
経法大に入学したばかりの頃は、「将来は公務員に」と考えていました。地域の人々のために役立ちたいという想いがあってのことです。そんな僕に、弁護士をめざすことを勧めてくださったのが、大島先生でした。「朝若君は文章もしっかりと読解できているし、弁護士に向いているよ」と。ただ、最初は戸惑いました。まだ法律を学び始めたばかりの、1年生の時のことでしたから。「自分が弁護士をめざしてもいいんだろうか?」という気持ちでした。
大きく心が動いたのは、2年生の夏でした。法律事務所でのインターンシップを経験し、そこで出会った弁護士の先生の仕事ぶりに感銘を受けたのです。これをきっかけに、自分も弁護士をめざそうと、本気で考えるようになりました。

その法律事務所での経験について、詳しくお聞かせください。

大島先生の勧めもあって、大学のキャリアセンターを通じて、夏休みの間に大阪市内の法律事務所で10日間、就業体験をさせていただく機会をいただきました。期間中は、一人の弁護士の先生と行動を共にさせていただきました。
依頼者との面談にも同席させてもらい、そうしたなかで、親身になって依頼者に寄り添う先生の姿勢に、心を打たれました。依頼者の多くは、最初に相談に来られた時は、追い詰められたような、暗い表情をされています。しかし問題が解決した後は、笑顔でお帰りになられるんです。「困っている人々を笑顔にできる、なんて素晴らしい仕事なんだ」。実際の現場でリアルにそう感じたことが、大きかったと思います。
その弁護士の先生は、「どの道に進むのも君次第だけれど、この道に進むならやりがいはあるよ」と、僕の背中を押してくださいました。先生は弁護士になる前、社会人として他の仕事をされていた経験をお持ちで、それをふまえて、「弁護士をめざすなら、法律を学ぶだけでなく、幅広くいろいろな勉強や経験をしておくのがいい」と話してくださったことも、強く印象に残っています。

以後は迷いなく、弁護士をめざすための勉強に打ち込んでこられたのですね。

はい。2年生の秋から、「将来、司法試験に挑戦する」という決意のもとで、本格的に法律を学びました。
小学生の頃から政治についての勉強が好きで、憲法に親しみを感じていましたから、法律の勉強は苦ではありませんでした。ただ、おぼえなければならない量が膨大で、それは大変でしたね。最初はスムーズに吸収できていましたが、勉強が進むにつれ、だんだんと壁を感じるようになって…。3年生になる前くらいの頃には、「どうしよう?」と不安でいっぱいの気持ちになりました。

その壁を、どのようにして乗り越えられたのですか?

同じ目標を持つ仲間とともに、乗り越えることができたと思います。法学部の法律専門職コースには、司法試験合格をめざして頑張っている学生がたくさんいるんです。そうした友達の存在が、支えになりました。
一人で集中したい時は大学の自習室を利用していましたが、友達と一緒にゼミ室で勉強することも、よくありました。それぞれ得意な分野が違うので、お互いに教え合うことができたのが、良かったと思います。みんなで法科大学院合格を第一の目標として一緒に頑張ってきたから、一人では乗り越えられない壁も乗り越えることができました。友達には本当に恵まれたと、いま改めて実感しています。

法科大学院の入試には、どのように臨みましたか?

3年生になった頃から法科大学院受験を強く意識し、対策に力を注いできました。参考書や問題集を選ぶにあたっては、先生や知り合いの弁護士の方にアドバイスをいただいたのが良かったと思います。大学の図書館も活用しました。
特に強く志望する法科大学院があったわけではありませんが、関西を離れたくないという想いから複数の法科大学院を受験し、合格することができました。しっかりと準備をしていたつもりでしたが、正直言って「合格できる」という自信はなく、入試が終わったあとも不安な気持ちで発表を待っていました。合格通知が届いたことで、ようやく晴れやかな気持ちになれたと思います。しかも、関西学院大学法科大学院は学費全額免除での合格を実現。両親にあまり経済的な負担をかけたくなかったので、本当にうれしく感じています。

法律の勉強以外で、大学生活で印象に残っていることはありますか?

2年生の時のインターンシップで弁護士の先生に「いろいろな勉強や経験を」とアドバイスをいただいていたこともあり、大学ではできるだけ法律以外のことにも視野を広げ、さまざまな勉強に取り組みました。歴史や哲学、政治、経済など、授業だけでなく、自分でさまざまな本を読み、それらの勉強を通じて「困っている人の役に立つために弁護士をめざすんだ」ということを改めて自覚しました。
3年生の時には、大阪市議会議員の事務所でのインターンシップも経験し、「地域住民の方々の幸せを、最前線で動かすのが政治の役割」ということを再認識できました。そのインターンシップで最も印象に残っているのが、議員の先生と一緒に参加した、聴覚障害者の集いです。僕が弁護士をめざしていることを伝えると、ご高齢の聴覚障害者の方が僕の手をギュッと握りしめ、「頑張ってね、応援しているよ」と話してくださったのです。社会的に弱い立場にある人たちの想いにふれ、そうした人たちの心強い味方としての弁護士をめざさなければという使命感が沸き起こりました。とても貴重な経験ができたと感じています。

今後の抱負についてお聞かせください。

法科大学院に合格することができたことで、司法試験に向けて、ようやくスタートラインに立てたという気持ちです。現在は大学での授業だけでなく、予備校にも通って勉強し、法科大学院でのより高度な学修に備えています。
法科大学院では、法律の知識を深めることはもちろん、人格形成に向けた勉強にも力を注ぎたいと考えています。哲学など幅広い学びと、さまざまな体験を重ねることで、「なぜ自分は弁護士になりたいのか?」「なぜ人々に寄り添うことが大切なのか?」を常に問いただしていきます。
めざす弁護士像は、小さな幸せのきっかけになれるような弁護士。「相談するだけでも結構な費用がかかる」といったイメージを抱き、気軽に弁護士に相談できない人は少なくありません。ですから、困っている人々がいないか、常に社会に目を配り、自ら手を差し伸べ、多くの人を助けられる弁護士になりたいと考えています。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学生活を送る上で大切なことは、「大学で何を学んだか」だと、僕は思います。何を勉強するかによって、人生は大きく変わる。専門知識を身につけるだけでなく、幅広い分野の勉強や、より多くの人と接する経験などを通じて、人間性を育てるということも忘れないでほしいですね。入試に合格し、大学生になることができたとして、それで目的が果たせたわけではありません。大学生になったからこそやるべきことが、たくさんあります。そういったことを感じながら、頑張ってもらいたいと思います。

※掲載内容は取材当時のものです。

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