進学

図書館で一人勉強に励んだ日々が、
法律家としての道を歩む土台をつくってくれた。

大阪大学法科大学院 神戸大学法科大学院 合格一ノ瀬 健伍 さんKengo Ichinose法学部法律学科卒(2020年3月) / 大阪府立 成城高校 出身

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法科大学院入試合格、おめでとうございます。
法律家への道を志したきっかけについて、お聞かせください。

ありがとうございます。
きっかけは、本当に些細なことなんです。小学校の卒業アルバムに将来の夢を書いた時、周りが医者などのいわゆるカッコイイ職業を書いていたのを見て、私も軽い気持ちで「弁護士」と書いたんです。でも、それをきっかけに何となく法律に興味を持ちはじめ、進学先の大学を選ぶ際も「興味のある法学の学修環境が充実している大学」と考えて経法大を選択。そして、大学で法律の勉強をはじめてみると、その奥深さや面白さに魅せられ、どんどんのめり込んでいった結果、法科大学院進学という道に自然とたどり着いていました。小学生の頃はもちろん、大学入学時でさえ、まさか自分が法科大学院に合格して、本当に弁護士の道をめざすようになるとは夢にも思っていなかったので、今の状況に私自身が一番驚いています。

大学では、どのような学修に取り組まれたのですか?

法科大学院試験の合格には、1年生から3年生まで受講した「Sコース(特修講座)」と自主学修が大きく寄与しました。
Sコースでは、1年生の時から司法試験に必要な7法(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)すべての基礎を学ぶことができたので、日常生活では馴染みのない法律用語なども、すんなり理解することができました。2年生と3年生では、身につけた知識を定着させるために司法試験や法科大学院の過去問を解き、先生に論点や論述内容について指導していただきました。いずれの講座も少人数だったので、「なぜ論点がズレたのか」といった根本原因から丁寧に指導いただき、論理的思考力を磨くことができたと感じています。
4年生からは、法科大学院試験の勉強に集中するために自主学修へとシフトチェンジ。大学の図書館で遅くまで勉強する日々を送りましたが、週に2回は友人と集まって法科大学院の過去問演習にも取り組みました。お互いの論述内容に対して意見交換をするのですが、1科目につき3時間程度議論する時もありました。私立の法科大学院試験は5科目、国立は7科目もあるため、なかなか骨の折れる作業でしたね。

Sコース以外の学修で印象に残っているものはありますか?

「憲法学Ⅲ」はハイレベルな内容だったので印象に残っています。最高裁判所の憲法判断の方法について分析し、その意義の読み解き方などを深めていく授業でした。論述式のテストによって受講生が選抜されていくため、最終的には10人以下の少人数クラスになり、先生と対話しながら授業を受けることができました。この授業を受けるまで憲法は苦手だったのですが、濃密な授業内容のおかげでしっかり理解できるようになりました。
また、4年生の時に履修していた「法曹特別演習」では、2年生・3年生・4年生が一緒に授業を受けるため、下の学年の学生たちに論述方法や答案の書き方を指導する機会がありました。すでに理解していることでも、噛み砕いて人に教えることで、さらに理解を深めることができたと思います。

大学生活で印象に残っていることはありますか?

本屋でのアルバイト以外は、本当に法律の勉強ばかりしていたので、大学生らしい思い出がないんです。自分でも笑ってしまいますが、大学4年間を振り返ってみると、毎日勉強していた大学の図書館が真っ先に思い出されるくらいです。でも、それは辛いものではなく、充実した日々として私の胸に刻まれている大切な思い出です。あの時間があったからこそ、難関と言われる法科大学院に合格することができましたし、これから法律家としての道を歩むための土台作りができたと思っています。

法科大学院の試験には、どのように臨まれましたか?

本命は国立でしたが、8月に同志社、9月に立命館の法科大学院を受験しました。模試などを受けたことがなかったので、それまで積み上げてきた成果がどれほど通用するのか、本番の試験で腕試しするような感覚です。結果としては、ともに学費全額免除での合格。しかも、立命館に関しては総合順位が50人中11位と高く、科目によっては上位10名以内の順位だったので、国立の試験に向けて自信をつけることができました。
そして、いよいよ国立の試験。最初に神戸大学法科大学院を受験したのですが、午前は民法と会社法、午後からは憲法と刑法、夕方に行政法と民事訴訟法、刑事訴訟法の試験がありました。一番大変だったのが午後の試験。憲法と刑法という重めの科目を一気にこなさなければいけないので、けっこうきつかったですね。ただ、それは他の受験生も同じです。ここをきっちり論述できれば差をつけられると考え、必死に最後までねばりました。トップレベルの国立大学というブランド力に飲まれそうにもなりましたが、自分の力を信じて精一杯やり切ったという感じです。
逆に大阪大学法科大学院の試験は、本命が神戸大学法科大学院ということもあって、気負うことなく平常心で受けることができました。予想していた範囲が出題されたこともあり、試験終了時にはかなりの手応えを感じていました。

国立大学の合格を知った時は、どんなお気持ちでしたか?

神戸大学法科大学院の合格発表が先にあったのですが、発表の日は朝からずっとそわそわしていました。発表時刻まで勉強して待とうと図書館に行きましたが、この時ばかりはまるで手につきません。ようやく発表時刻になり、恐る恐る開いた合格発表のサイトに自分の受験番号を見つけた時は、本当にうれしくて体が震えました。図書館なので大きな声を出すわけにもいかず、お世話になった先生のもとへと走って報告に行ったのを覚えています。大阪大学法科大学院も無事に合格し、受験したすべてで合格を勝ち取ることができ、大変嬉しかったです。

今後の抱負についてお聞かせください。

まずは、司法試験の合格に向けてしっかり学修に励んでいきたいですね。どんな分野を扱う弁護士になりたいかという将来像がまだ描けていないので、法科大学院での学修を通してやりたい分野を見つけたいと思っています。法科大学院は、今よりもさらに深く、レベルの高い勉強ができる場所なので、他の院生と切磋琢磨しながら、法律家としての道を歩んでいくつもりです。

受験生の皆さんへのメッセージ

大学選びは、勉強したいこと、やりたいことができる環境があるかどうかで判断してください。私の場合は正課の授業に加え、Sコースという環境があったからこそ、法科大学院合格という結果を得ることができました。また、少しでも興味があることには、どんどん挑戦してみるべきだと思います。たとえ芽が出なかったとしても、また他のことに挑戦すればいいだけです。特定の何かに挑戦することで可能性が狭まるなんてことはありません。むしろ、そこから広がっていくものだと思います。

※掲載内容は取材当時のものです。

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